相続税の申告について相続税の申告における注意点や納付までのポイントを把握しましょう。

相続税申告に際して、大半の方が初めて取り組まれる方が多いのではないでしょうか。
ここでは、相続税申告の概要と、注意点や流れなどをまとめてみました。ご⾃⾝で申告を検討されている方は、ご⼀読ください。

1. 相続税の申告の基本ルール

① 遺産総額を把握する

遺産総額により、相続税申告が不要な場合がありますが、いずれにしても遺産総額がわからないことには、その判断もできません。遺産総額を調べることがまずは必要になります。
遺産総額3,600万円というのが⼀つの指標になるため、まずは遺産に該当しそうなものを調べましょう。

プラスの財産
  • ・⼟地建物等の不動産
  • ・借地権、借家権の権利
  • ・現⾦・預貯⾦
  • ・株式、債券等の有価証券
  • ・⾃動⾞や骨とう品、貴⾦属等
  •  
マイナスの財産
  • ・銀⾏借り入れやキャッシングなどの借⾦
  • ・カードローンなどの残債
  • ・未払いのもの
  • ・保証債務
  • ・固定資産税

相続税申告が不要な場合もあります

遺産総額が3,600万円以下なら、相続税の申告不要というのはご存知ですか?

  • 〇要申告  遺産総額 > 3,000万円 +(法定相続人の数 × 600万円)
  • ×申告不要 遺産総額 < 3,000万円 +(法定相続人の数 × 600万円)

上記の通り、3,000万円 +(法定相続人×600万円)は基礎控除となり、申告が不要です。
しかし、いくつか例外もあります。

遺産総額が基礎控除金額以内でも申告が必要なケース
配偶者の税額軽減を適⽤する場合
相続税申告をしなければ、配偶者の税額軽減を適用できないため。
⼩規模宅地等の特例を適⽤する場合
相続税申告をしなければ、⼩規模宅地等の特例を適用できないため。

上記は、基礎控除以下でも以上でも、相続税申告が適用の条件となっているため、申告は必須です。

② 相続税申告の期限は10カ月以内

相続税の申告期限は、相続開始(死亡日)から10カ月後となっています。例えば、死亡日が1月1日なら11月1日、8月15日なら翌年の6月15日が期限となります。
申告期限までに、相続税申告書を管轄の税務署に提出し、かつ相続税の⽀払いまで⾏う必要があります。
申告期限を過ぎると、ペナルティが加算されますので、期限は守りましょう。

相続税申告の期限は10カ月以内

2. 相続税申告の流れ

1. 相続人・相続財産を決める

・相続財産は、何がどれだけあり、いくらなのか
・誰に相続するのか

大まかに上記2点が必要になります。
すべてスムーズに話が進む場合は、ご⾃⾝でも対応可能ですが、実際はスムーズに進まないことが多々あります。
理由として、⼾籍謄本や、不動産の登記簿は、⼀元管理されているわけではありません。すべてご⾃⾝で調べて取り寄せる必要があるのです。

  1. 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、相続人の特定を行う

  2. 相続開始(死亡)から3か月以内に相続放棄や限定承認の手続き

生前に確定申告をされていた方は、亡くなった日から4カ月以内に所得税の準確定申告をする必要があります。

2. 財産の評価

⼟地や建物、預貯⾦や株式、保険⾦など、様々な財産があります。それらをもれなく調べて、それぞれ評価し、評価額を算出しなければなりません。そして、必要な控除や特例等を利用して、⽀払う相続税の⾦額が決まります。当事務所では、利用できる特例や控除を最大限に利用して、ここで相続税を抑えます。

  1. 不動産の評価は、評価方法により、評価額に数百万、数千万と差がつくこともあります。当事務所は土地評価に精通した専門家と提携しておりますので、お気軽にご相談ください。

3. 遺産の分け方を決める

相続において、⼀番難しいのがこの遺産分割です。法定相続通りにいくことは稀で、実際は当事者同⼠の話し合いで分割することが大半を占めます。円満にまとまらないことも多く、場合によっては弁護⼠を挟む場合もあります。ここは各相続者の⽴場を最大限勘案して、遺産分割協議書を作成まで対応致します。

  1. 相続人全員で分割方法を協議する

  2. 遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議書は、相続人全員が⾃筆で署名し、印鑑登録された印鑑(実印)で押印する必要があります。

4. 相続財産の相続手続き

登記などの名義変更や遺産の相続手続きを⾏う段階です。財産の種類によって、法務局や、⾦融機関、税務署、市区町村役場など、⼿続き先は異なります。

  1. 不動産の相続登記で必要なもの 不動産の相続登記で必要なもの
    (法務局)
    ・相続登記申請書
    ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
    ・相続人全員の戸籍謄本または抄本
    ・相続関係説明図
    ・遺産分割協議書の写し
    ・遺産分割協議書に押印した人全員の印鑑証明書
    ・固定資産税評価証明書
    ・不動産を相続する人の住民票の写し

  2. 金融機関口座の名義変更 金融機関口座の名義変更
    (各金融機関)
    ・遺産分割協議書
    ・遺産分割協議書に押印した人全員の印鑑証明書
    ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
    ・相続人全員の戸籍謄本

  3. 相続税の申告 相続税の申告
    (税務署)
    ・相続税の確定申告書
    ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
    ・遺産分割協議書の写し
    ・遺産分割協議書に押印した人全員の印鑑証明書

⼿続きによって、必要書類や段取りが異なるため、これをご⾃⾝ですべて対応するのは相当大変な作業です。当事務所では、これらを可能な限り代⾏させていただき、ご依頼者様のご負担を軽減できるよう努めています。

5.相続税の申告と納付

相続が発生してから、10か月以内に相続税の申告と納付が必要になります。そして、税務調査が入る場合は、申告してから半年〜2年以内に入ります。調査後に修正申告をした場合、不⾜税額の10%〜15%の加算税がかかります。当事務所では、税務調査リスクを最大限抑える⼿続きを⾏っています。

相続税の申告と納付

3. 相続税申告の失敗例

① 配偶者の税額軽減の特例での失敗

お⽗様が亡くなられた際、会社の顧問税理⼠に相続税のことを相談されたとのこと。
「配偶者の税額軽減の特例で、遺産が1億6,000万円以内であれば配偶者間の相続では相続税が0円になる」
と⾔われ、そのようにされ、結果的に相続税は0円。

その後、数年してお⺟さまが他界。
当事務所にご相談をいただいたところ、相続税が約2,500万円かかると判明。(⽗が8,000万円、⺟が6,000万円、計1億4,000万円の遺産に対する相続税)

やり方次第で、相続税の⽀払い総額は約1/3の600万円程度に抑えることができたのに、配偶者の税額軽減の特例のいいところだけを⾒て失敗された例です。

配偶者の税額軽減の特例での失敗
  1. お⽗様の相続の際、ご依頼者様であるご子息が相続されていたら、相続税のトータルは約600万円で済みました。配偶者の税額軽減の特例のリスクも理解し、⼆次相続のことまで視野にいれたお⼿続が必要です。

② 倍近くも差が出た土地評価額

お⽗様が亡くなれ、相続のために不動産の評価をとある税理⼠に相談されたとのこと。
税理⼠から提示された評価額は6,200万円。
セカンドオピニオンのつもりで、と当事務所にご相談いただき、査定すると、査定⾦額は3,500万円(路線価の計算方法や、独⾃の路線価を付設したことにより、査定⾦額は大きく変わりました。)

その差は2,700万円。鑑定により、ここまで差が出ると驚いた様子でいらっしゃいました。

倍近くも差が出た土地評価額
  1. 仮にこの不動産だけが資産の場合で算出すると、6,200万円の評価額だと、相続税として、340万円の⽀払いが必要ですが、3,500万円の評価額の場合は、基礎控除で0円となります。

③ 遺産分割協議書を作成しなかったために起きたトラブル

お⽗様がガンで入院された際、ご兄弟と相続の話になった。(相続人は兄と弟の⼆人のみ、⺟はすでに他界)
弟様が、「俺は家を出ているし、遺産はすべて兄貴が相続すればいいよ」と⾔われ、お兄様はその予定で諸々段取りをされた。

しかし、お⽗様が実際にが亡くなられた際、弟様が「遺産はやはり折半にしたい」とお兄様に申告。
お兄様は、当初の話と違うと憤慨し、交渉も重ねましたが、もろもろ段取りしていたものもすべて狂い、結局遺産分割調停をすることに。

遺産分割協議書を作成しなかったために起きたトラブル
  1. 遺産分割協議書を作っておかないと、後々トラブルになるリスクはなくなりません。⾝内だから、書類なんかなくても、と思うかもしれませんが、⾝内だからこそ、揉めないためにも、遺産分割協議書を作成しておくことをオススメします。

相続税は計算方法だけでもこれだけ複雑です。
さらに、これらを実証する根拠資料(⼾籍謄本、資産証明、株式や保険証券etc. を集めたりと、相当なエネルギーが必要となります。
私たち相続税のプロにお任せいただければ、これらの手間も軽減できますし、払うべき税金を抑え、さらに少ない負担で手続きが進められます。まずは初回無料相談をお気軽にご利用ください。

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